空Ⅱ
その翌日。
うちは龍と一緒に帰る約束を取り付けた。
「梓。帰ろう」
「うん」
いつも向けてくれる優しい笑顔。
少しホッとしながら、隣を歩いた。
あまり人気のない道を歩いていると、ガサッと音がして人が出てきた。
「よぉ。羽雲ぉー。今日は女連れかあ?」
物陰から出てきたのはなにやらイカツイ人達だ。
「お前ら…」
龍の目付きは変わり、うちを背中に隠してくれる。
「梓、逃げろ。走れ」
ボソッとうちに言う。
「…ケガせんといてよ」
「任せとけ」
龍の返事を聞いてからうちは来た道を全速力で走った。
「おーっと、ちょっと待ってや」
もう少しで人通りのある道に出れるってとこで、腕を掴まれた。
「離せよ」
「まあまあ、あんたに乱暴なことはしやんから。ちょっと来てや」
「ちょっ…‼︎」
金髪の男はニコッと笑うとうちの腕を引っ張って、さっきの場所の近くまで戻ってきた。