空Ⅱ
「梓…めっちゃ強いやんけ」
「そう?」
決着はすぐに着いた。
20人近くいた男達は、全員地面に伸びている。
「喧嘩…か」
「…これは、誰かを守る時だけしか使うなよ」
空を見上げたうちに、海里は言った。
「なら、うちは海里を守るために使う」
「…そうか。俺も梓は守る」
少し悲しそうに笑う海里がうちは今でも忘れられやん。
それから次々に喧嘩をふっかけられるようになり、関西最強とまで言われるようになっていた。
そんな日が続いていたけど、中3の秋。
両親の転勤が決まり、こっちに転校してきた。
龍とはあの事件以来話すことはなかった。
もちろん、藍とも。
うちは、逃げたんだ。
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