空Ⅱ
「もうそんなこと気にせぇへんから。一緒に帰ろう」
悲しそうな笑顔。
そんな顔させてる自分に腹が立つ。
「ごめん、龍。うちの居場所はもうここやねん。龍と一緒には帰れやん」
「なんで⁈梓は俺のこと好きやろ⁈あん時のんは嘘なんやろ⁈」
帰れないと言えば、どこか縋るように詰め寄ってきた。
「あぁ。友だちとして、好きや。今はもう龍のこと、恋愛対象として見れやんねん…ごめん…」
「…中野海里、か?」
いきなり海里の名前が出てきてびっくりした。
でもすぐに思い浮かんだのは海里の笑顔。
あぁ…やっぱりうちは海里が好きやったんや…。
「…うん」