空Ⅱ
「あーあ。俺も失恋かあー!」
「う。ごめん」
「謝んなよ。悲しいやんか」
数歩前を歩く龍がクルッと振り返ると、明るい笑顔を向けてくれた。
「梓、アイツは手強いかもしれやんけど、頑張れよ!」
「うんっ…!ありがとう!」
「幸せになれよな」
「任せとけ!龍も!その笑顔があれば、絶対幸せになれるわ」
「当たり前や。俺なんやから」
自信家野郎に戻ったな。
よかった。
「ほら、あそこで騒いでる奴らんとこ行ってこい。…梓の居場所なんやろ?」
「うんっ!龍、また会おうな!」
「おう」
最後に見た笑顔は、少し寂しそうで悲しそうやったけど、最高にスッキリしたもので。
今までで一番かっこよく見えた。
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