晴れた日の朝



「・・・匂いねぇ・・・」


学校は死んだお父さんの匂いであふれている。


職員室のコーヒーの匂い。

パソコンの熱がこもった匂い。

教室のチョークの匂い。


それらは、学校は違くても全部お父さんの匂いだった。


「でも、それって俺の匂いでもあるよね」

「は?」

「え、だってそうだよね?俺だって先生だし」

「・・・そうかも」

「だったら、もう俺の匂いにしちゃってよ」

「んぎゃっ」

そう言って、康ちゃんは私をぎゅーっと抱きしめた。


< 7 / 68 >

この作品をシェア

pagetop