雨とバンビ。



私はびしょびしょに濡れたスカートを美華に見せた。



「うわ、どしたの」



「車にやられた」



でも悪いのは車じゃない。雨だ。



「梅雨なんか早く終わっちゃえ…!」



憎しみを込めてそう言うと美華はクスッと笑った。



「そんなに雨嫌い?」



「もちろん。 好きな人なんていないよ」



「美華は好きだよ、雨」



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