雨とバンビ。
毎日通る通学路も、バンビのことを考えていたらあっという間。
「夏蓮、大丈夫?」
ぼーっとしている私を見て美華は眉を寄せた。
「…ごめ、大丈夫」
大丈夫じゃなさそうな返事をすると、美華はため息をついた。
「……そんなに好き?」
美華の言っている意味が分からなくて、首を傾げる。
「だから、私が話しかけても、今度遊ぼうって言っても上の空なぐらい…」
「好きなんでしょ?」
「……え」
なにそれ、私相当ヤバいじゃないか。
「遊ぼうって誘った…の?」
全く覚えていない。
「うん。あー、いいねーって言われたけど?」