雨とバンビ。
「…え?本当だけど」
美華は最近、大人っぽくなった。
髪を緩やかに巻いて、肌から香るのは甘いバニラ。
「…これね、貰ったの」
頬をふんわり桃色に染めた美華を見て、私は理解した。
「もしかして…!先輩から貰ったの?」
こくん、と頷いた美華からは、またバニラの匂いがした。
あれから、美華は先輩に告白されて、今二人は付き合っている。
私が心配していたようなことは何も無く、上手くいっているようだ。
あの時はきっと、先輩が少し狂っていただけ。