黒。
いっかいめの『ヲワリ』


ずっと待ってた。

ああ。そんなのとっくにわかってる。

早くここから出してよ。

…。

ねぇ、出してよ!もうこんな狭くて暗いところは嫌なの!前みたいに…前みたいに、また二人で遊べる日が来るでしょう?!だから…

それはもう叶わぬ願いなんだよ。手遅れさ。俺はお前を…に来たんだ。

え?

殺しに…来たんだよ。

……は…あはははははっ!!なぁんだ。そんなことかぁ!あー、てっきり助けてくれるのかと…私が期待しすぎただけね?

…ゴメン。ごめんな。俺の…せいだな。

そっ、そんなこと無いよ!!私が宇宙を破壊するくらいの力を持っているのが悪いんだよ!

…っく。

泣かないで。

俺がもっと強ければ…こんなことにはならなかったのに…。泣かないって、決めたのに…。

もう、いいよ。



私のこと、殺していいよ?

…。じゃあ俺も死ぬよ。

何故?気、つかわなくてもいいのに。

違う。俺はただお前とずっと一緒にいたいんだ。

…そう。あなたは変わらないね。我が儘ね。

気持ちだって変わらないさ。これまでも…これからも。

ん…。

牢獄の鉄柱越しに、二人は唇を重ねた。長いキスだった。そしてお互いにナイフを手にとった。

また、必ず次世で会おう。

約束だよ?その時には、幸せになれるよね?

当たり前。

…愛してる。

二人の声が重なった。と同時に、二つの生命、そして世界が一度、ヲワリを告げた。
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