鶴見の鳩
そこから見ると、このホームはま

るで浴場のようだった。ともする

と大きな湯船にでも浸かっている

かのような錯覚を覚える。だが時

折ホームを横切る木枯らしは、そ

んな私の豊かな想像すら枯らして

しまった。

隣には白髪混じりの外人が、コー

トにくるんだ身を所在無さげにベ

ンチに置いていた。また一つ開け

てその隣には、未開封のポテトチ

ップの袋を片手に談笑する二人組

の少年たちがいた。

私は大きな欠伸を一つかますと、

今さっき買ったスナック菓子の袋

を開いた。



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