鶴見の鳩
だが隣でビニール袋が開く音がし

たのとほぼ同時に、不意に鳩の一

団が視界の左側へ雪崩をうって移

動した。

見れば向こう側に座った少年が、

ポテトチップを砕いて鳩にやって

いるではないか。たちまちにして

、私を取り巻く鳩達は跡形もなく

消えてしまった。

私は置いてき放りを喰らったかの

ように、呆気に取られてしまった



砕いてあるポテトチップは食べ易

いのか、鳩の一軍は勢い良く口を

運んでいた。そんな鳩を見て、少

年たちは愉しげに、その早めの晩

餐を眺めていた。私を、ついさっ

き感じたのとは別種の苛立ちが襲

ってきた。



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