今宵、貴女と夢心中


「咲さん、こっちへ」


そう言って、手を伸ばしてくれる八代さんの元に、私は小崎くんの脇をすり抜けて走りました。

八代さんは私の腰を片手で抱き寄せます。

「──残念ですが、君は咲さんに嫌われているようですね」


その一言が、小崎くんを憤慨させてしまったようです。

僕の咲に触れるな、と叫んで、彼は八代さんに向かって斧を振り下ろしました。


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