極上お姫様生活―2―【完】
こいつの何気ない言葉が俺をズキズキと痛め付けていく。
「女、とか言うな」
好きで女よりも可愛い顔してるわけじゃねーんだよ。空気読め。
「あれ、もしかして気にしてた?」
「うるさい」
この女、ほんと腹立つ……。
「でもさーいくら蒼空の為とか言っても、自分偽って苦しくないの?」
「……は、?」
「可愛いとか言われるの嫌がるくせに、蒼空の前ではそういう態度とるわけでしょ?なーんか間違ってる気がする」
ずかずかと、迷いも遠慮も慈悲すらもなく俺の心に踏み入ってくる。……俺らほとんど初対面だぞ?何なんだよ。
「はーると君」
「……っるさいなぁ!そんなの君に言われなくたってっ……!」
―――分かってる。なんせ一度フラれてる身だし。もう僕に脈なんてないことくらい分かってるんだよ。
だけど、それを誰かに言われるのは嫌だ、むかつく。
「……遥登君、あたし森元 未來っていうの。覚えてね」
「なに、急に」
そういえば名前知らなかったけど。
「可愛いっていうのはあなたにとって悪口になるかもしれないけど、あたしにとっては嬉しいことなんだよ」
「え……」