極上お姫様生活―2―【完】
「ふっ、二人とも!お願いだから喧嘩しないで下さいっ」
……どうしてこんな状況になっちゃったの。
「いいか、蒼空は俺のものなんだよ。手出すな、帰れ」
「それはできない相談だわ。つか、蒼空をもの扱いすんなクソッタレ」
さっきからあたしの声なんて届いてないみたい。ていうか、姿すら見えてない?
「これ以上邪魔すんなら、まじで容赦しねぇぞ?」
「それはこっちの台詞だ。覚悟できてんだろうな?」
どうしよう、このままじゃ二人とも怪我しちゃう!何とかして止めないと……!
あ。
「未來ちゃん!こっち、こっちです!」
あたしの呼び掛けに気付いた未來ちゃんが呆れた顔をしながら走ってくる。
その後ろに橘君たちも続く。
みんな来てくれたんだ……。
「で、なによこの状況は」
未來ちゃんたちが来たことにも全く気付いてない様子で、二人は口喧嘩をやめない。
「それがあたしにもさっぱりで……、」
止めようにもあたしの声すら聞こえてないみたいだし。
「……蒼空」
ふいに名前を呼ばれて振り返る。