極上お姫様生活―2―【完】
遥登君が一度あたしを見てから、すぐに視線を移す。
「あれ、どうにかしなきゃね」
「だから、お前はもう蒼空に嫌われてんだよ!自覚しろって」
「あー?だったらもう一度好きになってもらうまでだ」
ああ言えばこう言う……。二人の言い合いは一向に落ち着く気配を見せない。
「ったくよお、ガキじゃあるまいし……勘弁しろよな」
橘君が面倒くさそうに頭をガシガシ掻きながら二人に近寄る。
それでも相変わらず響く罵声。
「てめぇら……、いい加減にしやがれ!!」
橘君が二人の胸ぐらを掴んでグイと引き寄せる。その形相は鬼よりも恐ろしく。
「「っ!!?」」
「これ以上騒ぎを大きくして蒼空を困らせんなら、まじで容赦しねぇぞ」
橘君の言葉で、やっと二人の口が閉じる。よかった、我に返ってくれた……。
「……悪ぃ」
八木原君が口を押さえながら小さく謝る。
「んだよこいつ、つかお前ら誰だよ」
八木原君とは対照的に、須賀楓汰は敵対心を剥き出しにしながら橘君たちを睨み付けた。
「……よお楓汰くん、俺は橘遊哉。蒼空の恋人候補の一人だよ」
え……!!?