極上お姫様生活―2―【完】
翌日、翼の言った通り八木原君は学校に来なかった。
松神先生は風邪だと言ったけど、そんなはずないんだろうな…。
八木原君がいなくても、変わらず授業は始まる。櫻田君に貰ったノートを見ながら、何とか授業についていく。
分からない単語が並び、頭はパンク寸前だった。でもやらなくちゃいけない。留年するわけにはいかないから。
放課後、あたしはみんなより早めに寮に帰って簡単に部屋の掃除をしていた。
お茶を人数分用意したところで、トントン、と扉を叩く音がした。
「あ、はーい」
ぐるり部屋を見回しながら、ドアノブに手を掛ける。
開けようとしたら、向こう側から扉が引かれた。
「…、あ」
何とも間抜けな声を出してしまった。まさかこんなタイミングで逢うなんて。
「よぉ」
「八木原…君」