極上お姫様生活―2―【完】
「あ?恋人候補だあ?なに、お前も蒼空のこと好きなわけ?」
え、え……。
「あぁそうだよ、好きすぎて気が狂っちまいそうだ」
なんて橘君はニヤリと口角を上げながら平然と言ってのけるけど……真っ白になったあたしの頭はまだ働いてくれない。
「ついででいいから覚えておいてくれないか。俺も浅村の恋人候補、櫻田湊だ」
丁寧に自己紹介をしてるつもりか、櫻田君は小さく頭を下げた。
でも今の発言、ちょっとおかしくないですか……?
櫻田君は固まったままのあたしをチラリ覗き見る。目が合えば、クスッと眩しいほどの笑顔を向けてきた。
「あの、ちょっとみなさん―――」
「最後は俺、中村遥登。一回蒼空にフラれてるけど、諦めるつもりねーから」
遥登君まで……!!!
盛大なカミングアウトをした三人が須賀楓汰から庇うようにあたしの前に立つ。
「こいつを泣かすわけにはいかねーんだよ」
「浅村は渡さない。……絶対にだ」
「素直に諦めた方が良いんじゃない?」
フン、と息の合った威嚇をした三人はくるり振り返る。
わわ、何で急にこっち向くの……!