極上お姫様生活―2―【完】
恥ずかしくて顔を上げられないままでいると、三つの影がゆらり揺れた。
「まだ、言うつもりじゃなかったが……状況が状況だったから伝えざるを得なかった。驚かせてすまない」
「、櫻田君……」
憂いを滲ませた声色に、思わず顔を上げる。
「いきなりこんなこと言われても困るよな。でも、お前を好きだって気持ちは本物だ。……ここにいる全員な」
「あ、でもそこのサイテーくんはどうか分からないけど?」
ギロリ睨みをきかせ、遥登君が須賀楓汰に鋭い視線をぶつける。
「ふざけんな、俺の愛が一番本物だ」
すかさず反論。胸ぐらを掴んでいる橘君の手を振り払い、あたしにずんずん近付いてきた。
「蒼空、言っとくけどまじだから。まじでお前のこと好きだから」
……っ!
「、嘘っ……!あんなにひどいことしといて、よくそんなこと言えるね!」
「おい、こら」
遥登君たちがあたしから須賀楓汰を引き離そうとする。それでも彼は、あたしの目をじっと見据えたままで。
「信じて、蒼空」
掠れた声を絞り出す。あたしにしか聞こえないように。―――あたしたち二人だけの世界みたいに。
「俺にはお前しかいないんだ……好き、」
ふいに須賀楓汰が伏せ目がちになって、瞬間、あたしたちの距離はゼロになった。