極上お姫様生活―2―【完】
楓汰を庇うように前に立ち、両手を横に広げる。
微かに震える掌を強く握り力を込めた。
「や、やめて下さい」
「何してんだよ、蒼空……そいつのこと庇うのか!?」
みんなは信じられないという表情をあたしに向ける。
これは、裏切りになるのかな。もちろん、そんなつもりは毛頭ない。
あたしはただ。
「話を……彼の話を聞きたいんです」
「っ、」
楓汰を責めるのは話を聞いてからでも遅くない、そう思っただけ。
あたしは上げていた両手を降ろし、くるり振り返る。
「事情があるんでしょ?全部、聞くから」
そう言うと楓汰はひどく嬉しそうにくしゃり顔を歪めた。
「ありがとう……、ああもう!まじで好きだ!!」
楓汰に未練があるわけじゃない。ただ、過去の清算をしたいだけ。
彼なりの事情があったなら、聞きたいと思う。……それだけのこと、だったんだけど。
「……そうかよ」
後ろから苛立ちが込められた低い声がする。振り返ると、八木原君があたしを睨んでいた。……ううん、八木原君だけじゃない。
「結局そいつを選ぶんだな、俺ら全員を裏切って」
「え……、」