極上お姫様生活―2―【完】
「あいつらの為に泣くなよ。……俺がいるだろ」
泣き崩れるあたしを楓汰が支えて、そのまま包むように抱き締める。
「だってあたし……っ、そんなつもりじゃ……なかった、のに、っ……」
嗚咽交じりに泣き叫ぶ。楓汰はただ、うんうんと相槌を打ちながら強く抱き締めてくれた。
「嫌だようう……っ」
こんなの嫌だ。みんなと一緒がいい。一緒にいたい。
「蒼空は何も悪くないから。だから……泣くな」
楓汰の言葉は温かくて、余計に涙腺を緩ませる。
……好きになる資格ない。
未來ちゃんに言われたことを思い出す。あんな風に怒った未來ちゃん初めて見た。
あたしは、みんなの傍にいちゃいけないのかな……。
「俺の話、聞いてくれるか?」
楓汰が心配そうにあたしを見ていることに気付いて、つい、と顔を上げる。
「聞くよ、もちろん」
あたしは無理矢理つくった笑顔を楓汰に向ける。
そんなつもりなかったとしても、楓汰の話を聞きたいって思ったのはあたし自身だから。
楓汰に心配掛けちゃ駄目だよね。
「じゃあ……とりあえず、俺ん家来る?」