極上お姫様生活―2―【完】
「…………え、?」
瞬きすることを忘れ、目を見開く。今、何て言ったのこの人。
「俺ん家こっから結構近いんだよ。外より話しやすいし」
「ま、待って待って!そんなの無理に決まってるじゃん!」
なに考えてるんですかこの男は!
でも楓汰は至って真面目に言っていたみたいで、何で?と首を傾げる。
楓汰って意外と鈍いかな……それともわざとやってる?
「……何でって、あの、」
「もしかして、手出される……とか考えてる?」
やっぱり彼は天然だったようで、大袈裟に反応した自分が恥ずかしくなる。
「だ、だって……!」
普通家に来ないかなんて言われたら少しくらいは想像しちゃうものでしょう……!?
「誤解解きたいだけだから。手は出さないって約束する」
楓汰の真剣な顔に、思わず背筋を伸ばす。
「ほ、んとに?」
昔のことを思い出し、どうしても疑いの心が芽生えてしまう。
「蒼空。俺は、好きな女を泣かせるようなことは絶対しない。お前は、俺にとってすげぇ大事な存在なんだ」
楓汰はあたしの両肩を掴んで顔を覗き込む。至近距離で目が合って、でも逸らせなかった。
「……うん、信じるよ」