極上お姫様生活―2―【完】




――――――――――



―――――







「お邪魔します……」




「おー」






恐る恐る足を踏み入れる。そういえば、家にお邪魔するのは初めてかもしれない。







「その辺適当に座ってて、なんか飲むもん持ってくるわ」




「あ、ありがとう……」







ていうか、どこに座っていいか分かんないんだけど!その辺ってどこ!?




部屋の中をぐるり見回す。一人暮らしをするには少し大きいくらいの間取りになっていて。






家具が少ないせいか、余計に広く見える。








「はいよ、紅茶でいいか」






楓汰が入れてくれた紅茶を受け取りつつ、ふと疑問をぶつけてみる。




「ありがとう。……あの、ご両親は?」






もし楓汰のお母さんに彼女さん?なんて聞かれたらどうしようかと悩んでたんだけど……。







「親父は海外出張。母親は2年前に家出てってから音沙汰なし」




え……。





「音沙汰なしって……」



あたしと楓汰の間に気まずい沈黙が流れる。聞いちゃまずかった、かな。






「……んな顔すんなって!別にいいんだ、もう」




「でもっ」





「今ここに蒼空がいてくれる。それだけでいいんだって」



楓汰が寂しそうな顔をしてすぐに笑顔を浮かべる。……そういうこと言うの、ずるい。





< 118 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop