極上お姫様生活―2―【完】
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「お邪魔します……」
「おー」
恐る恐る足を踏み入れる。そういえば、家にお邪魔するのは初めてかもしれない。
「その辺適当に座ってて、なんか飲むもん持ってくるわ」
「あ、ありがとう……」
ていうか、どこに座っていいか分かんないんだけど!その辺ってどこ!?
部屋の中をぐるり見回す。一人暮らしをするには少し大きいくらいの間取りになっていて。
家具が少ないせいか、余計に広く見える。
「はいよ、紅茶でいいか」
楓汰が入れてくれた紅茶を受け取りつつ、ふと疑問をぶつけてみる。
「ありがとう。……あの、ご両親は?」
もし楓汰のお母さんに彼女さん?なんて聞かれたらどうしようかと悩んでたんだけど……。
「親父は海外出張。母親は2年前に家出てってから音沙汰なし」
え……。
「音沙汰なしって……」
あたしと楓汰の間に気まずい沈黙が流れる。聞いちゃまずかった、かな。
「……んな顔すんなって!別にいいんだ、もう」
「でもっ」
「今ここに蒼空がいてくれる。それだけでいいんだって」
楓汰が寂しそうな顔をしてすぐに笑顔を浮かべる。……そういうこと言うの、ずるい。