極上お姫様生活―2―【完】
暫くして落ち着いた楓汰は、恥ずかしそうにごしごしと目を擦りながら笑う。
「……ごめん。俺、格好悪いな」
自虐的な笑みを浮かべる楓汰に、ズキンと胸が痛んだ。
「格好悪くなんかないよ、むしろ嬉しい」
そうやって心を曝け出してくれるのが嬉しい。あの頃じゃ考えられないことだったから。
笑い掛ければ楓汰もへへ、と笑って。やがて真剣な顔をして話始めてくれた。
「……中学ん時、お前相当モテてたの知ってた?」
「はい?」
「いや、今もモテることには変わりねぇんだけどさ。俺と付き合い始めた途端、周りの男がお前のことをじろじろ見ながら噂するようになって」
いやむしろ周りの女の子が楓汰のことを話すようになったと思うけど……。
黙って聞いてほしいと楓汰の目が言ってる気がして、あたしは反論するのをやめる。
「正直焦ってたんだ、お前が他の誰かに取られちまうんじゃないかって」
くしゃり顔を歪めてあたしから目を逸らす。
「何よりも大切な存在だった。絶対俺が守ろうって決めてた」
「……楓汰、」
でも、まだ繋がらない。それほど大切に想ってくれていたなら、どうしてあんなことしたの?
「で、……俺、風の噂で聞いちまってさ」