極上お姫様生活―2―【完】
「あたし、怖かったの……ああいうの初めてだったから、どうしていいか分からなくて」
嘘でも言い訳でもない。本当にただあたしに勇気がなかっただけ。
「楓汰のこと、大好きだった。大好きだったんだよ……?」
楓汰はあたしをぼんやり捉えたまま情けねぇ、と笑った。
「何で、大切にしてやれなかったんだろうな。勝手に裏切られたと思って、お前にひどいことして……最低だよな」
あたしの手に自らのそれを重ねて強く握る。ごめん、と楓汰は何度も謝った。
「いいよ、もう。……素直に言ってくれて嬉しかった」
あの時の傷は完全に癒えるわけじゃないけど、楓汰があたしを想っていてくれたことが分かったから。
「……今だって好きだよ」
「え?」
「いや、今この瞬間もっと好きになった。……な、俺とヨリ戻さねぇ?」
楓汰が真剣に言ってくれてるのは分かる。でも、あたしは。
―――蒼空。
「ごめん楓汰、あたしやっぱり……」
「何でだよ!?あいつら散々お前のこと傷付けたじゃねぇか……!」
違うよ。
「違う。傷付けたのはあたしの方だよ」
みんなを裏切ったのはあたしの方なの。