極上お姫様生活―2―【完】
でも。
「でもそれは友達としてだから、その気持ちが恋愛感情になることは……ない、」
抱き締められて、キスされそうになって、守ってやるって言われて、……少しだけ揺らいだ。
でも、違う。あたしはもう、変わることのない気持ちをしっかりもってる。
「楓汰ありがとう、……ごめんなさい」
頭を下げる瞬間、楓汰の悲しそうに笑った顔が見えた。だけど、ここは耐えなきゃいけない。
「蒼空、顔上げて」
頭を持ち上げるのが辛い。楓汰が今どんな思いでいるのか、あたしには分かるから。
「……上げてよ、そら」
っ。
悲願の声と同時に視界に両腕が映る。その腕はあたしの首に回り、そのままきつく抱き締められた。
「ふう、」
「最後……最後だから。もう少しだけこのままでいさせて」
少しの間があって、やがて彼から短いため息が聞こえる。
「はぁ、うん。そうだよな」
名残惜しそうに身体が離される。正面から向き合うと、やっぱり楓汰は笑っていて。
「みっともねぇよな、こんな悪あがき」
「、っ」
楓汰はガシガシと頭を乱暴に掻きながら、だっせぇ、と自嘲する。