極上お姫様生活―2―【完】
それでも信じて下さい
その日の夜。
あたしは握りしめた携帯電話に目を落とす。……掛けなきゃ。
微かに震える指で通話ボタンを押す。呼び出し音、4回。
ガチャと機械の音がして、やがて声が聞こえた。
「…………はい」
「未來ちゃん、」
「何の用?」
未來ちゃんの冷たい声に息が詰まる。落としそうになってしまった携帯を慌てて握り直す。
「あのね、楓汰と……お話してきたんだ。それで……ちゃんと終わらせてきたよ」
「……」
未來ちゃんは何も言わない。
「楓汰に、もう付き合うつもりはないって言って……向こうも納得してくれた」
未來ちゃんはあたしに好きになる資格ないって言ったけど。
「ね、未來ちゃん。あたしいっぱい考えた。……やっぱり、みんなと一緒にいたいんだ」
ちゃんとけじめつけたから、もう迷ったりしないから。
「明日、みんなに会って話したいと思ってる。許してもらえるか分からないけど、それでも気持ちは伝えようと思うよ」
「……嘘だよ」
「え?」
何となく、未來ちゃんの声が震えてる気がして少し不安になる。
あたしは唇を噛み締めながら未來ちゃんの言葉を待った。