極上お姫様生活―2―【完】
「資格がないなんて、言うつもりじゃなかったの。ただ、……ちょっとカッとしちゃっただけで」
向こうから聞こえてくる未來ちゃんの申し訳なさそうな声に、あたしはほっと息を吐いた。
「うん、ありがとう未來ちゃん」
「いや……こっちこそごめん。きついこと言った」
ほら、やっぱり大丈夫だった。ちゃんと仲直りできた。
強く拳を握っていたことに気付いて、思わず笑ってしまった。どれだけ緊張してたの自分。
「未來ちゃん」
「ん?」
未來ちゃんは分かってくれた。次にやるべきことはもう決まってる。
「あたし、みんなにもちゃんと……全部話して、謝る」
許してもらえるかは分からない。
でも。例えどんなに嫌われたとしても、あたしはみんなから離れない。離れたくない。
だから、今できることを全部やってみる。
「諦めたりしないから」
「うん、頑張れ」
その後、あたしたちはお互いが眠ってしまうまでくだらない話を続けた。
あの時のみんなの怖い顔。それは確かにあたしに向けられたものだった。
どんな理由であれ裏切り行為をしたあたしのことなんて、理解したくないに決まってる。
そんな風に揺らぎそうになるあたしの心を、電話の向こうの未來ちゃんは何度も励ましてくれた。