極上お姫様生活―2―【完】
「……、っ」
カーテンの隙間から眩しいくらいの日の光が降り注ぐ。
ぼんやり目を擦りつつ、握りしめられた携帯を見てぎょっとした。
「つ、通話中……!?」
慌てて携帯を耳に当てれば、向こうから聞こえてきたのは静かな寝息で。
……未來ちゃん寝てる……。
もしかして、あたしたちほとんど同時に寝ちゃった?
昨日の記憶は仲直りして他愛のない話をしていたとこでぶっつり切れてる。
おやすみと言った覚えも、電話を切った覚えも、携帯を閉じた覚えもない。
「やば……っ」
今さら電源を落としたって、最早なんの意味もない。
「通話代……いくらになるかな」
嫌でも数日後には届いてしまう請求書。ああ、もう最悪。
後悔しても仕方ないことだけど、悔やまずにはいられない。
「あー未來ちゃんのバカ。いくら眠くたって電源切るくらいできるでしょ」
なんて人のせいにする始末。
……うー、ダメだダメだ。今日は大切な日なんだから、こんなことでくよくよしてる暇はない。
さっさと準備して学校行こう。
気持ちを切り替えていかなきゃ……余裕をもって。
携帯の電源を入れ直して充電器と繋げる。
「よし、今日は髪を上げていこうかな」