極上お姫様生活―2―【完】
「あんな風に振っといて今さら何の用だ、だろ?」
そ、そんな言い方をするつもりはありませんけど。
「まぁ…大体は」
あの瞬間を思い出しただけで泣きそうになる。それくらい辛い事だった。
「…なんつうか、今はまだ言えねぇんだ」
八木原君はぼんやり遠くに視線を移して、ゆっくり口を開いた。八木原君こそ、泣きそうな顔してる。
「あの夜言った事は何一つ嘘じゃない。俺は本気だった」
きゅう、と胸が苦しくなる。嫌いになったって言われるのがたまらなく怖い。
「だから……待っていてほしい」
「…え?」
俯いていた顔を上げると、真剣な眼差しの八木原君と目が合う。吸い込まれそうな瞳で、逸らせなくなる。
「俺の事、信じて待っていてくれないか?勝手なのは分かってる。でも俺は、…お前を諦めたくない」
「っ、」
思ってもみなかった事を言われて胸が熱くなる。じんじん、じんじん。―――ダメ、泣く。