極上お姫様生活―2―【完】
「……大丈夫、大丈夫」
そう呟いても、やっぱり怖い。学校に行きたくないという気持ちが強くなりはじめる。
もう休んでしまおうか。このまま部屋に戻ってしまおうか。
「……」
そんなことしたって益々みんなと話しづらくなるだけ。……分かってる。
それでも逃げ出したくなってしまうほど、橘君の瞳は残酷に冷たかった。
まるで学校に来るなって…………ううん、やめよう。みんなのせいじゃない。
全部、あたしの責任だ。
―――そら、
何となく名前を呼ばれた気がして、ハッと顔を上げる。
「……櫻田、君?」
あたしの目の前にいたのは、櫻田君だった。
「おはよう」
「おはよう、ございます……」
ふわり微笑む彼に呆然としながらも口を開く。あれ……何だろう、この状況。
「学校来るよな?」
笑顔が消えたかと思えば、櫻田君はあたしの肩に手を置き真面目な声で聞いてくる。
学校……、
「い、行きます」
彼の瞳に惑わされるように、ほぼ反射的に答えてしまった。
「ん。なら、先に行って待ってるから……早く来い」
「は……はい」