極上お姫様生活―2―【完】
力強く言ったつもりが、全然声になっていなかった。弱々しく、ざわめいた教室の空気に消えていく私の掠れ声。
「……あ、」
伝わらなかっただろうかと不安になって顔を上げる。
「話、ねぇ。……それさ、俺らが聞かなきゃ駄目?」
声はちゃんと届いていた。でも、気持ちはまだ遠くて。
「話なんか聞きたくねぇ」
八木原君はあたしを拒絶するようにくるり背を向けてしまう。
「す、少しでいいんです……どうしてもっ、伝えたいんです……!」
自棄糞ってわけじゃないけど、もう形振りなんて構っていられなかった。何でもいいからただ話を聞いてほしい一心で、あたしは訴える。
ガタッ!と橘君がいきなり立ち上がり、はー……とだるそうに息を吐き出す。
驚いてビクリ肩を揺らしたあたしを睨み付け、彼は言い放った。
「聞きたくねぇっつってんじゃん。しつこい女、まじ迷惑なんだけど」
―――プツン。
‘しつこい女、まじ迷惑なんだけど’
橘君の声が頭の中で何度もリピートされる。と同時にあたしの心の隅にあった何かが破裂したような気がした。
「……ちょっと待ちなさいよ」