極上お姫様生活―2―【完】
浅村蒼空の豹変
面倒臭そうに教室を出ていこうとする遊哉の背中に向かって蒼空が言葉を放つ。
……え、?
空気が変わったのが分かる。騒いでいた周りの奴らも声に反応しこちらを見た。というか蒼空を見た。
遥登も湊も、もちろん俺も。
「誰がしつこい女なのよ、ねぇ?こっちは話聞けっつってるだけでしょうが。融通きかない男たちね、ほんと」
誰だ。
今目の前で腕を組みながら俺らに啖呵を切ってるこの女は一体誰なんだよ。
「なに固まっちゃってんの?やっと自分たちの器の小ささに気付いたってわけ?」
「あ、浅村……?」
開いた口が塞がらないとはこのことか。俺たちは蒼空の豹変ぶりに、ただ動揺することしかできなかった。
「ちょっと橘くーん、あんなに酷いこと言ったくせに今度はだんまり決め込むわけ?男がなってないんじゃないのー?」
蒼空に嫌味を言われて、遊哉も何か言いたそうに口を開くけど声にならず。
まさに圧倒。
「……蒼空が……ぶっ壊れた……っ」
遥登もかなりのショックを受けているようで。ガシッと蒼空の肩を掴み勢いよく揺らす。
「うわあああ戻って戻って!僕たちが悪かったからあああああ!!」