極上お姫様生活―2―【完】
「まず」
誰もが蒼空の豹変ぶりに目を丸くし、しんと静まり返る教室に蒼空が椅子を引く音だけが響いた。
どかっとそこに座り、足を組むついでに腕も組む。……怖い。
「あんたたちが誤解してること。その誤解を解かなきゃいけないよね」
「お、俺たちは誤解なんかしてねぇよ。あれは事実だろうが」
遊哉が動揺しつつも、すかさず反論する。
確かにそうだ。蒼空があの男を選んだのに変わりはない。俺たちはそれを目の前で見せつけられたんだから。
「違うっつってんの」
ピシャリと蒼空が言い切る。空気がひやり凍てついた気がした。
「な……何が違うんだよ?」
「話をつけてきただけ。どうしてあんなことしたのか聞いてきただけ。付き合う気なんて最初からなかったし、そのこともちゃんと伝えてきた」
蒼空の声が、言葉が教室に反響する。俺たちを真っ直ぐ見据えながら、一言一言大切に口にしていく。
「……でも、ごめんなさい。勘違いさせちゃったことには変わりないし。あの時のあたしの言動は確かに軽率だったと思う」
口調が変わっても。
態度が変わっても。
目の前にいるのは間違いなく蒼空だ。俺が知ってる……大好きな蒼空だ。