極上お姫様生活―2―【完】
「蒼空、遅くなってごめ―――」
ギィと扉が開いたと思ったら、慌てて中に入ってきた三人が固まっている。
あ、この状況は…。
「てめ…っ、斎!今までどこ行ってやがった!!」
橘君が我に返ったように瞬きを数回繰り返し、部屋に入ってきた。
「どこって…それはちょっと言えないかな」
もしかして…橘君たちも八木原君がどこにいたのか知らなかったの?
「言えないって…そりゃあないでしょ。みんな心配してたんだよ?」
そうだったんだ…。橘君たちにも言わなかったくらいなんだから、よっぽどの事があったんだよね。
「今は言えねぇけど、…いつか必ず言うから。全部話すから」
いつか。それがいつでも、あたしは待つ。八木原君が話してくれるまで待っていよう。
「それより、勉強会するんだろ?」
「あ?何で斎が知ってんだよ、蒼空ちゃんに聞いたのか?」
「いや、若宮先生に聞いた」
そうだ、勉強会。少ない時間で9教科もやらなくちゃなんだから、さっさと取り掛からないと。