極上お姫様生活―2―【完】
「可愛い事すんなよ」
「し、してな―――」
八木原君は俯いたまま反論しようとしたあたしの顔を覗き込んで、
「いいからキスさせて」
強引に唇を重ねた。
後ろ首を掴まれ、無理矢理上を向かせられる。何度も角度を変えられて、重なる度に深くなるキス。
「っ……ん」
息が上手に出来なくて、八木原君のシャツを握り締める。あたしばっかり翻弄されているのが何となく悔しくて、必死に舌を絡ませてみるけど……。
「……っふ、」
「はは、頑張ってくれてんの?」
涙を浮かべて息を整えるあたしに相変わらずの余裕の笑顔を見せつける八木原君。
「ば、……馬鹿にしてるんですか……」
「まさか。嬉しいだけ」
クイ、と顎を捕らえられまだ荒い息を繰り返す唇に再び唇が重なる。八木原君はぎゅっと目を瞑った事で流れたあたしの涙を拭いながら激しいキスを繰り返した。
頭がぼうっとして目の前が霞んでいく。溶けちゃいそうで、もう何も考えられない。
ただ、無我夢中で。
あたしはその甘すぎる快感に酔いしれていった。