極上お姫様生活―2―【完】
「……い、おーい」
甘い意識の中で、あたしは夢を見ているような感覚に陥っていた。頭の奥の方で、あたしを呼ぶ声が響く。
もう少し、このまま夢見心地でいたいな……。
「おい、起きろって蒼空」
んー……気持ちいいのにぃ。と、顔をしかめながら、ごろんと寝返りをうつ。
え?
そこでやっとあたしの思考回路は働き始めた。寝返りって何だ……?ていうかこの状況って……。
「やーっと目ぇ覚ましたか」
「……っ、あれ!!?」
目の前に八木原君の呆れ顔が迫って、あたしは目を見開いた。
あたしが寝ていたのは、保健室のベッドで。多分、八木原君とキスしたのは夢じゃない……はず、なんだけど。
「キスくらいで気絶されちゃあこれから先持たねぇぞ」
……気絶!?
もしかしてあたし、八木原君とのキスの途中で気絶しちゃったの!?
「あ、あ、ご、ごめんなさい!」
ベッドから飛び起きて、あたしを見たまま苦笑する八木原君に平謝りする。キスだけで気絶しちゃうなんて……どれだけ慣れていないかバレバレじゃないか!ああもう本当恥ずかしい。
「いや……まぁ驚いたけど。別に怒っちゃいねぇから謝んなよ」