極上お姫様生活―2―【完】




「……い、おーい」




甘い意識の中で、あたしは夢を見ているような感覚に陥っていた。頭の奥の方で、あたしを呼ぶ声が響く。



もう少し、このまま夢見心地でいたいな……。




「おい、起きろって蒼空」




んー……気持ちいいのにぃ。と、顔をしかめながら、ごろんと寝返りをうつ。







え?



そこでやっとあたしの思考回路は働き始めた。寝返りって何だ……?ていうかこの状況って……。




「やーっと目ぇ覚ましたか」



「……っ、あれ!!?」




目の前に八木原君の呆れ顔が迫って、あたしは目を見開いた。


あたしが寝ていたのは、保健室のベッドで。多分、八木原君とキスしたのは夢じゃない……はず、なんだけど。



「キスくらいで気絶されちゃあこれから先持たねぇぞ」




……気絶!?


もしかしてあたし、八木原君とのキスの途中で気絶しちゃったの!?





「あ、あ、ご、ごめんなさい!」


ベッドから飛び起きて、あたしを見たまま苦笑する八木原君に平謝りする。キスだけで気絶しちゃうなんて……どれだけ慣れていないかバレバレじゃないか!ああもう本当恥ずかしい。




「いや……まぁ驚いたけど。別に怒っちゃいねぇから謝んなよ」



< 152 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop