極上お姫様生活―2―【完】
八木原君は笑って慰めてくれるけど、あたしは中々顔を上げられなくて。
「だって……情けないです」
泣きそうな声を漏らせば、八木原君はまた優しく抱き締めてくれた。落ち着いていた心臓が再び激しく動き始める。
「むしろ俺は嬉しかったぜ?それだけ蒼空が俺に応えようとしてくれてたって事だろ?」
「それは、」
「それに。こうやって久々に蒼空に触れられたからって、理性吹っ飛ばして手加減しなかった俺も悪かった」
八木原君の腕があたしの腰に回ってぎゅううう、と力が込められる。綻んだ自身の顔を隠すために彼の胸に押し付けた。
香水とは違う彼自身の香りが鼻の奥まで広がって心地いい。
「慣れてない事なんて最初から分かってたし」
「え!?」
素っ頓狂な声を上げてしまった。だけどそんな事より……。
「そんなもん誰が見たって分かるだろ」
あたしってそんなに分かりやすいんですかね!!?それならもはや隠そうとした意味が分からないじゃないか……。
「……そろそろ教室戻らねぇとな」
ひとりショックを受けていると、八木原君がぼそり呟いた。