極上お姫様生活―2―【完】
「蒼空、まだ帰ってなかったのね。丁度良かった」
保健室のドアを閉めたところで、白衣を片手に持った翼に呼び止められる。
「どうしたんですか?」
「今、あなたのご両親から電話があったわよ」
翼の口から飛び出た予想外の言葉に、しばし固まる。
「あなたの携帯に何度か連絡したみたいなんだけど……」
そう言われてハッとして携帯を確認する。チカチカと着信を知らせるランプが定期的に点滅していた。
「すぐに折り返し電話くれって仰ってたわ」
着信6件。それを見ただけでも急ぎの用だったって事が分かる。学校にまで電話するなんて……何かあったのかな。
嫌な予感が胸をよぎる。
「分かりました、ありがとうございます」
翼にお礼を言いつつも、ほとんど上の空だった。どうしようもないほど胸騒ぎがして、自然と手が震えてしまう。
「大丈夫か、蒼空」
小さく頷いて見せるけど、部屋に戻って一人になったらきっと怖くなってしまう。
「あの……みなさん」