極上お姫様生活―2―【完】



「電話、ここで掛けてもいいですか?ちょっと……怖いです」



携帯を握り締めたまま縋るように声を出す。みんながいてくれたら、きっと大丈夫な気がするの。




「当たり前だろ。でもここじゃ何だし、俺の部屋行こうぜ」


当然のように橘君が頷いてくれてあたしはほっと安堵の息を吐いた。




「ありがとうございま―――」


「ちょっと待て、コラ」




橘君に向けて下げた頭を八木原君によって上げられる。え?と戸惑ってると、みんなに見せつけるようにあたしの手を掴んだ。



「俺が一緒にいるから安心してお前らは自室に戻りやがれ」




八木原君はそう言い放つとあたしの手を引いたまま歩き出す。放心状態のあたしは、そのまま彼について行く事しか出来なかった。



「斎っ!もう我侭は許さないぞ!」



八木原君に掴まれている手とは逆の手を、今度は遥登君に掴まれる。う、腕が千切れる……!!





「離せよ」


「いーやーだっ!離すのはそっち!!」



あたしの両サイドで二人が子どものような口喧嘩を始める。その間も掴まれた手は離される事なく……。



「お前ら、下らない事で争っている場合か。もう少し彼女の気持ちを考えたらどうなんだ?」





見かねた櫻田君が静かな声で二人を叱責する。その声にようやく冷静になってくれたのか、両手が解放された。



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