極上お姫様生活―2―【完】
みんなが自分の部屋のように寛ぐ中、そわそわと立ったままのあたしを八木原君が座るように促す。少し緊張しつつ、その場に腰をおろした。
その時、
「っ、!」
びっくりして声にならない声を上げてしまった。ポケットの中で携帯が震えてる。
「誰かの携帯鳴ってね?」
みんなが自分の携帯を確認しだして、あたしは慌てて手を上げた。
「ごめんなさい、あたしです」
そう言うと、みんなの表情に緊張が走る。誰もがあたしの手の中で光り続ける携帯に目を落としていた。
あたしも同じように携帯に目をやりながら、その着信相手の名前を確認する。相手なんて最初から分かってるんだけど。
「お母さんからです、……出ますね」
ピ、と通話ボタンを押して携帯を耳に押し当てる。……いや、正確には押し当てようとした。
「もしも―――」
『蒼空ー!!?もーやっと出たーっ!!!』
懐かしいお母さんの声に浸る暇もなく、あたしの鼓膜は激しく震えた。キンキンとうるさい金切り声が脳を貫いて部屋に反響する。
お母さんの声はもちろん盛大に音漏れしていてみんなの顔も一気に険しくなった。ごめんなさいごめんなさい……!!
「お母さん、声が大きい!」