極上お姫様生活―2―【完】
「海外へ行っていた蒼空の両親が……日本に帰ってくるのか」
「しかも、それと同時にこの学校を辞めさせるつもり、ってわけだ」
あたしはずるずると鼻水を啜りながら頷く。あたしが話をしている間も、みんなは手を繋いだまま黙って聞いてくれた。
……やっぱり信じられない。どうしてお母さんはあんな事言えたんだろう。
「あたし、何があってもここにいたいです。みなさんと離れるなんて、考えられないですもん」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で無理矢理笑顔をつくる。それを見た橘君が苦笑しながらあたしの頭を撫でた。
「俺らも同じだよ。蒼空と離れるなんて嫌だからな」
橘君に続いてうんうんと賛同してくれるみんなに、心の底からほっとしている自分がいた。
みんなとずっと一緒にいられればいい。それだけで十分だよ。
「でも、母さんの言い分もちゃんと聞いてやらねぇとな」
「え?」
電源ごと切ってしまったあたしの携帯を見ながら、八木原君は優しく諭すように言った。お母さんの、言い分?
「一方的に断ってそれで終わり、ってのは良くないよな。直接逢って話すべきなんじゃないのか」
口調こそ穏やかなものの、だからこそ八木原君に責められているような気がしてあたしは顔を伏せた。
「もう、いいんですよ」