極上お姫様生活―2―【完】


「わーこれなら覚えられそうな気がする!」



そ、そんなにですか。




「これ貸してくれない!?」


「おい遥登、それじゃあ蒼空ちゃんが勉強できなくなるだろーが」



すかさず橘君が手を伸ばす。あたしのノートがあっちへこっちへ、まるで踊っているかのように移動する。




「うるせぇな、騒ぐんじゃねぇよ」


「みっともないぞ」




八木原君は暴れる二人をうざったそうに睨み付けながら、櫻田君は教科書から目を離さないまま言った。



「だって!これがあれば僕…」





今にも泣き出してしまいそうな遥登君を見て、思わず身を乗り出した。


「あ、あたしの事はお気になさらず…使って下さい!」




歴史はほとんど暗記してあるから、貸しても問題ない……多分。



「無理しなくていいんだぞ、蒼空?」




「ほんとに大丈夫ですから!」


至って自然にあたしに顔を近付けてくる橘君から逃げるように腰を引く。




彼にとっては何でもないのかもしれないけど、やっぱり緊張する。



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