極上お姫様生活―2―【完】



「心配、してくれましたよね」


ぼんやりと今朝の事を思い出してみる。



「あたしの事……蒼空、って呼んでくれたの覚えてます?」


そう不敵に笑う蒼空を見て、ガバッと身体を起こした。今はっきりと思い出した。思い出してしまった。




と、いうかこのタイミングで言うか普通……!恥ずかしさがこみ上げ、ぼぼぼと顔を赤らめてしまう。


「嬉しかったです、本当に」




片手で顔を隠しながら、分かったから、と必死で頷く。そんな滑稽な姿を蒼空はどう思うのだろうか。


それに、若干……周りの視線も痛いな。







「油断できないなーこのムッツリ」



「なっ、うるさいぞ!」


今朝の言動は正直自分でも驚いているんだ。どうしてあんなに平然としていられたのか。







最初は、蒼空、と頭の中で言うだけでも顔が真っ赤になってしまうほどだったのだから。



「と、とにかく!お礼を言われるような事はしていないから」


「でも、救われたんです、あたしっ!だからせめて、お礼くらい言わせて下さい」





そんなに眩しい笑顔を俺に向けないでくれ……失神しそうになる。




「うむ、分かった。じゃあここは素直に受け取っておく。だからこの話はもうおしまいだ、いいな?」


こんな小っ恥ずかしい話をいつまでも続けられたら堪ったもんじゃない。





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