極上お姫様生活―2―【完】
学校に残る事を許してもらえないかもしれないのに。
不安でいっぱいのあたしとは対照的に、八木原君はあたしに笑顔を向ける。安心させようとしてくれているのか、その意図は分からないけど。
「そうなればいいですよね。いえ……そうしましょう」
八木原君の優しさに応えるように、あたしも笑顔を向ける。もっと前向きにならなきゃ。
「あぁ、絶対な」
「……て、事で明日の欠席許可を頂きたいのですが」
あたしと八木原君はその足で職員室へ向かい、他の先生たちに隠れてカチカチ携帯をいじっていた松神先生に事情を説明した。
「んー……そうですね」
携帯から顔を上げてあたしたちに向き直る。ふむ……と少し宙を仰いで考える素振りを見せてから、松神先生はにっこり笑った。
「貴女がこの学校を辞めるなんて嫌ですし……構いませんよ」
「よしっ、ナイス!」
八木原君が隣で喜びの声を上げると、松神先生の顔が険しくなる。そして周りに聞こえない程度に声を潜めて言った。
「言っとくけど俺は蒼空のために許可を出すんだからな」