極上お姫様生活―2―【完】
掛けていた眼鏡を下にずらしながら八木原君を睨む。
「大体何でお前まで休むんだよ」
「は?俺はいつだって蒼空の傍にいたいんだよ」
何て事なく、当たり前のように口にした八木原君を二度見する。またそうやってさらっと恥ずかしい事を……!
かあぁと顔を赤らめるあたしを先生が一瞥してさらに眉間を寄せる。
「ふーんそういう事ですか、あなたたち……いつの間にねぇ」
ははーんと意地悪く笑う先生に、余計顔が上げられない。
「蒼空をいじめんな」
八木原君が不興顔であたしの庇うように前に出る。そんな光景すらも先生は楽しんで。
「そんな怖い顔するなって、ちょっとからかっただけだろ」
ごめんごめんと軽く謝りつつ全く反省の色を示さない先生に、八木原君は諦めたようにため息を吐いた。
「まぁいいや。とにかく明日は休むから」
「んー」
生返事をしながら椅子に寄りかかった先生に、お礼の意味を込め頭を下げてからあたしたちは職員室を出ようとした。
「蒼空」