極上お姫様生活―2―【完】
翌日、いつもより一時間も早く目が覚めてしまった。家に帰るのはお昼頃だから、早起きする必要はなかったのに。
「……もう寝られそうにないな」
自分で思ってるより緊張しているらしい。二度寝しようにも目が冴えきってしまい、仕方なくあたしは身体を起こす。
「まだみんな寝てるよね……」
軽く身支度を整えて外に出てみる。静まり返った廊下に、やけに大きく響くあたしの声。
何となく外に出たもののこれといって用もないので部屋に戻ろうとした瞬間、誰かに肩を掴まれ心臓が飛び出そうになる。
「ひっ、……!!」
「すまない、驚かせてしまったな」
悲鳴を上げる寸前、櫻田君の手によってそれは塞がれる。びっくりした……!!
「っは、櫻田君……おはようございますっ」
「あぁおはよう、今日は随分と早起きなんだな」
パッと手が離れて深く息を吸いながら、とりあえず挨拶。というか櫻田君、起きるの早いな……。
「偶々目が覚めちゃって。櫻田君はいつもこの時間に?」
声の大きさに配慮しながら櫻田君に聞く。
「いや、普段はもう少し寝ているが……」
櫻田君はそこで一度口を閉じてあたしの顔をじっと見つめる。