極上お姫様生活―2―【完】
はぁ、と重い息を漏らす。
多分全部バレてるんだと思う。それでいて櫻田君は何も言わないんだ。
気を遣わせてしまっているのが申し訳なくなる。あんな顔、見たくなかった…………。
「蒼空?」
思い悩んでいるうちに、座り込んだまま寝てしまっていたらしい。誰かの声に誘われ、ゆっくり眠りの世界から目を覚ます。
「何でこんなとこで寝てんだよ、風邪引いたらどうすんだ」
八木原君が慌てた様子であたしの身体を起こす。肩には彼の上着が掛けられていた。
「あ……八木原君」
「おはよ、まだちょっと早いけどな。ほら、部屋戻れ」
半ば強制的に部屋に連れて行かれる。グイグイあたしは腕を引かれて結局布団に寝かされてしまった。
「あの、?」
あたしの横に座って部屋を出ようとしない八木原君。出て行ってほしいわけじゃないけど、一応聞いてみる。
「お前の様子見に行こうとしたんだよ、そしたら廊下の隅っこで縮こまって寝てるからびっくりした。……やっぱ、寝れなかったか?」
傍にいてやれば良かった、と顔をくしゃり歪める八木原君。嫌だ、そんな風に自分を責めないで。
「ううん、あたしは平気です。だって、八木原君はいつだって傍にいてくれるから」