極上お姫様生活―2―【完】
お母さん、お父さん
緊張と不安で胸が苦しくなって何度も吐きそうになった。八木原君の表情も若干固まっている。
だけど、そんな雰囲気を察する事なく、彼女はいつものように。
「やーん、おっかえりなさい!!」
飛びついてきたお母さんに折れそうなくらい強く抱き締められる。うえっ、苦しい……!!
久しぶりに逢ったっていうのにこのハイテンション、いや、久々だから余計になのかもしれないけど。
八木原君も笑顔を引き攣らせたまま動かない。相当驚いてるんだろう。
「……た、ただいまっ」
「……お邪魔します」
何とか声を搾り出すと、我に返った八木原君も続けて口を開く。
「はーい、おかえり、いらっしゃい!あなたもしかして、蒼空の彼氏さん!?」
「何だと!!?父さんは許さんぞ!!」
部屋の奥からズカズカとお父さんが出てくる。勢いよく飛び出してきたものの、八木原君を見た瞬間、言葉を失っちゃったみたい。
「初めまして、八木原斎と申します。蒼空とはまだ恋人関係ではありませんが、そうなる日は遠くないと思ってます」
緊張が解れたのか、八木原君は優美な動きで頭を下げる。っていうか後半!!
「ちょっと、八木原君……っ」
「何だよ、お前はそう思ってねぇのか?」