極上お姫様生活―2―【完】
「そ、っそうじゃないですけど……!!」
下らない言い争いをするあたしたちをニヤニヤお母さんが見ているのに気付いて、バッと目を逸らす。
「あーらやだっ!ねぇお父さん、彼かっこいいわねぇ」
お母さんが興奮気味にお父さんの肩をバンバン叩く。さっきから何も黙ったままのお父さんがあ、あぁ、と放心状態で生返事をした。
確かにお父さんが驚くのは無理ないと思う。完璧な容姿とマナー。あたしには勿体ないくらいだし。
「ささ、上がって上がって!美味しい紅茶を買ってきたのっ」
お母さんの強引さに若干押されながら、あたしたちはリビングへ向かった。
お母さんはすぐに紅茶を持ってお父さんの隣に座る。あたしたちもその向かいに並んで座った。
紅茶の柔らかい香りが広がり、心が休まる。
「蒼空に聞かせたい話がたくさんあるのよー!お母さん向こうでモテモテでね、お父さんが嫉妬しちゃって……」
「あの、お母さん!」
お願いだから少しは空気をよんでほしい。
「え?」
間抜けな声を出すお母さんに呆れつつあたしは二人に確認する。
「今日あたしたちがここに来た理由、忘れてないよね?」