極上お姫様生活―2―【完】
「蒼空、お母さんはな……すごく寂しそうにしていたんだよ」
「……え?」
紅茶の入ったカップを両手で包みながら、お父さんがあたしに言った。
「向こうに行ってる間、いつも「今頃、蒼空は何してるかしら」って煩くてな」
ポツリ、優しく語るようにお父さんは言葉を続ける。お母さんは俯いたまま、時折手を目尻に持っていった。……泣いてる?
「お母さんの気持ちも組んでやってくれないか?私たちにとって、蒼空がどれだけ大切か……」
「あたしの事一人にして、無理矢理寮のある学校に転校させたくせに、よく大切だなんて言えるね」
「っ、!」
あぁ、違うよ、違う違う。
あの時の心細さを思い出してつい冷たい事を言ってしまった。違う、こんな事が言いたいわけじゃない。
「蒼空」
咎めるように八木原君があたしの名前を呼ぶ。それは違うよな?とあたしを叱った。
「……ごめんなさい、うん、違う……あの時は寂しかっただけで。……だけど今は感謝してるの。それでみんなに出会えたんだから」
これ以上失言しないように落ち着いて声にしていく。